
なぜラジオは「パーソナルなメディア」なのか?広告にどう活かせるのか?
スマートスピーカーやスマートフォンアプリの普及によって、接触の機会が増したラジオは、親世代には懐かしさを感じながらも一つの情報ツールとして成立しており、また若い世代には「新しい」メディアとして受け入れられつつあります。
そのラジオの最大の魅力は「マス媒体でありながら、パーソナルなメディア」であることにあります。一見、矛盾しているように聞こえますが、ラジオがパーソナルなメディアと言われる理由についてご紹介するとともに、広告へどう活かすかをご紹介します。
もくじ
ラジオを身近に感じる理由
パーソナリティと、リスナーの絆が強い
ラジオのタイムテーブルを見ると、テレビよりも特定のターゲット層を狙った番組編成をしていることが分かります。
曜日や時間帯に合わせて、例えば、早朝はご年配の方向け、平日の通勤時間帯はサラリーマン向け、昼間は主婦向け、深夜は学生など若年層向け…などと、特定のリスナー層に番組が放送されています。
また、ラジオ番組では、パーソナリティがお便りを読んだり、リスナーと電話で会話したりするコーナーがあります。質問やお悩みなどの投稿を通じて、自分と同じ層のリスナーの姿が垣間見えて共感を覚えることがあるように、“パーソナリティを中心としたコミュニティ”として番組が機能しているのです。
これらのことから、ラジオはパーソナリティとリスナーの絆が強いと言われています。
ラジオを通じて今を共有している
ラジオ番組の多くは、収録された音源ではなく生放送なので、リスナーはラジオを通じてリアルタイムを共有することができます。
投稿や質問やリクエストがリアルタイムで取り上げられるラジオは、若い世代にとって、「私の好きなこの曲をみんなにも聞いてもらいたい」「今日、こんな出来事があったので聞いてほしい」などといった、Twitterで考えや出来事をシェアする感覚に似ているとも言われています。
リスナーの多くは、生活習慣の中にラジオがある
ラジオを聞く人の3人に2人は同じ放送局のラジオを聞いているというデータがあります。対して、テレビはほとんどチャンネルを変えないという人が3人に1人というデータです。ラジオを聴く人は、同じ曜日、同じ時間に特定の放送局を聴く人が多いのが特徴です。
ラジオを聴くことは、「通勤しながら」「家事をしながら」「勉強しながら」と、リスナーにとって生活の一部になっています。
また、ラジオには、何十年と続く番組がいくつもあります。キー局・ローカル局ともに、多くの長寿番組が存在し、中には60年を超えるものも多くあります。長い間、変わらず愛聴できる番組があることも、リスナーの生活習慣の中にラジオがある要因となっています。
有名人が自分に向けてナイショ話をしているような雰囲気がある
普段は遠い存在に感じる有名人を、考え方や生活のちょっとしたエピソードで身近に感じた経験はないでしょうか。有名人同士のここだけの話や率直な意見を聴けるのはラジオならでは。ラジオを聴く楽しみでもあります。
パーソナリティとリスナーのあいだで会話をしているかのような、有名人が自分に向けてナイショ話をしているかのような感覚になることもあります。
番組の中に、「この場所では気を許している」様な雰囲気があることもラジオの魅力です。
動画サイトを利用する感覚で聞けるようになったラジオ
近年、スマートフォンアプリの普及によって、自分の時間にラジオが聴けるようになりました。テレビのように録画して見る習慣がなかったラジオは、リアルタイムで聞くことしかできないイメージがありましたが、radikoのタイムフリー機能によって、放送後にも一定期間の聴取が可能になりました。
また、車での移動中の聴取は今までもスタンダードでしたが、それ以外の場所でも、ラジオ機器なしにスマートフォン一つで聞けるようになり、動画サイトのようにラジオに触れられるようになったことで、さらに現代人の生活に合った聞き方が可能となり、よりラジオが身近になりました。
その地域に根差した番組やCMも豊富
ラジオでは、その地域の有名企業や、有名人による冠番組が多く放送されています。その地域の人なら誰もが知っているCMソングやキャッチコピーってありますよね。
ラジオの放送範囲が、電波が受信できるエリアであることから、“そのエリアにいる人だけが聴ける”という限定感も、ラジオを身近に感じる理由です。
ラジオの「身近さ」を活用しよう
ラジオがリスナーにとって身近である理由としてあげられるラジオの特徴には、広告を出す上で活用できるポイントが隠されています。
クリエイティブのテストが比較的しやすい
マス広告は、狙ったターゲットに広告をリーチするために、放送ゾーンを広く取り、まんべんなく出稿しなければならないイメージがあります。そのため、ターゲットに「刺さる」訴求をテストするのにも、多くの時間と、広告費用が必要になってしまいます。
ラジオもある程度の放送ゾーンは必要ですが、他のメディアに比べて、時間帯や番組によってある程度リスナー層が分かれているので、リスナー層に合わせた広告を作りやすいのです。
テレビよりも少ない予算で広告を作成することができるので、クリエイティブのパターンを複数作ってテストし、「刺さる」訴求を追求することもできます。
出稿戦略の自由度が高い
ラジオは、リスナー層がある程度分かれているので、自社のターゲットとなる層にピンポイントに広告を届けるための戦略のパターンが多くあります。
例えば、「30代、会社員、男性」がターゲットの商材であれば、通勤時間の朝7時~9時、帰宅時間の18時~20時、帰宅後の夜間帯と休日の聴取が考えられます。
このゾーンの範囲内で出稿計画を立てる場合でも、様々な方法があります。
例えば、「ゾーンいっぱいにまんべんなくスポットCMを放送する」こともできます。
あるいは「タイムCMにして決まった時間帯にCMを放送する」方法や、「通勤・帰宅の時間にしぼってCMを放送する」こともできますし、「土日のみに終日放送する」こともできます。
このように、予算や訴求に合わせて柔軟な出稿戦略が立てられます。
広告の接触頻度を高めやすい
ラジオを生活習慣の中に取り入れているリスナーが多いため、同じゾーンに広告の出稿を続けることで、接触回数を高めることができます。
接触回数が多いと、まず単純に、商品やサービスの認知が期待でき、さらに「ザイオンス効果(※①)」「セブンヒッツ理論(※②)」といった心理効果も期待できます。
※①同じ人や物に接する回数が増えるほど、その対象に対して好印象を持つようになる効果
※②消費者がコマーシャルに7回接触すると、 お店でその商品が並んでいる売り場に行った時、その商品を選ぶ確率が高くなるという理論